体外受精

【体外受精とは】

 世界ではじめて体外受精の赤ちゃんが生まれたのは1978年。それから数十年が経ち、体外受精という言葉を耳にする機会も増えてきました。それでも、体外受精に対する一般の理解が進んでいるとは言いがたいのが現状です。
 しかい、現在では年間2万人を超える赤ちゃんが体外受精で生まれています。
体外受精では、最初に女性の卵巣から取り出した成熟した卵子と、男性から採取した精子を培養液のなかにいれて受精させます。受精成功後は、受精卵の状態をみながら、卵を4分割から胚盤胞まで培養します。その受精卵を注入器で吸い取り、女性の子宮内へうつし、着床させます。
受精卵がうまく着床すれば、妊娠成功です。

【体外受精を受ける心構え】

 晩婚化、女性の社会進出、将来への不安などもあり、現代は妊娠しにくい生活環境にあるようです。
 なるべく早く妊娠したいという想いから、「先進医療の力を借りたい」という気持ちを持つ人も年々増加しています。
もちろん相反する「妊娠を自然にむかえたい」という気持ちもそこにはあり、様々な葛藤があるでしょう。
 不妊専門のクリニックに通院すると、基本的には医師のアドバイスどおりに治療が進みます。薬やカウンセリングなどの治療で結果が出ず、人工授精でもうまくいかなかった場合、医師が体外受精を進めることが良くあります。

【体外受精にすすむ条件】

 人工授精と比べて成功率が高い体外受精ですが、すぐに受けられるわけではありません。
 体外受精にすすむ条件としては、女性の場合は人工授精を5~7回以上行っても妊娠しない、卵管が閉塞している、子宮内膜症や腹膜炎の後遺症で骨盤内に癒着のある場合などがあげられます。男性の場合は精子に問題があり人工授精では妊娠が難しい場合などがあげられます。
 ただ女性の場合、年齢によっては早めに体外受精にふみきることもあります。

体外受精の手順

 体外受精の過程は、排卵コントロールからはじまり、採卵、受精、胚移植といったプロセスですすんでいきます。ただそのプロセスでひとつでも問題があると、先にすすめない場合がありますぅ。卵子は取れたけれど受精しなかった、よい受精卵が育たなかった、そのような場合は、次回最初から行うという形になります。

【①排卵コントロール】

 排卵誘発法にはいくつか種類がありますが、ここではロング法の流れを紹介します。
 体外受精では28日から30日を1周期として考えます。前周期の21日目頃から排卵時期コントロールのためGnRHアゴニストという薬を使い始めます。また卵子の質をよくするため、ピルの服用も始めます。
 月経開始3日目にはいったら、排卵誘発剤を使い、排卵をコントロールしながら卵子を成熟させます。

【②超音波で状態チェック】

 排卵誘発の処置を行いつつ、それと並行して、前胞状卵胞を測定する超音波検査、卵巣と下垂体のホルモン状態を採血で調べるホルモン分泌検査を行います。
 卵子の成熟度を観察するので、この期間は1~2日毎に通院します。

【③卵子が成熟したらhcgを注射】

 採卵を本格的に準備する段階です。超音波検査で卵子が直径18mmまで成熟していたら、排卵誘発剤hcgを注射します。注射後35~40時間で採卵です。下腹部に痛みがある場合は、安静にする必要があります。

【④採卵】

 採卵時に麻酔を掛けるため、採卵前日は夜10以降の飲食は厳禁です。翌日の午後までは水を飲むこともできないので注意が必要です。ただし、入浴はOKです。
 採卵当日は、女性は採卵の準備のため、指定された時間に病院へ行きます。男性は病院でマスターベーションをし、精液を取るのが普通です。自宅で精液を取ることも可能ですが、その場合は2時間以内に持参する必要があります。
精液採取後すぐに仕事に行くことも可能です。
採卵の際はまずは全身・局部麻酔をします。その後医師が超音波をチェックしながら、プローブをつけた採卵針で左右の卵巣から、卵胞液ごと卵子を吸い取ります。約10分ほどで終わります。 
 処置後は安静にする必要がありますが、多くの場合、その日のうちに帰宅できます。
 帰宅後も体の状態には気を使いましょう。少量の出血だけなら心配ありませんが、出血が多い場合や、発熱した場合、下腹部の痛みが強い場合は医師へ連絡する必要があります。
 

【⑤培養】

 採取した卵胞液からよい成熟卵を採取し、洗浄・濃縮した精子とともに培養します。温度と衛生状態が管理されたラボで行うのが普通です。成熟卵1個に対して、約5万個の精子を同じ容器内に入れ、約3~12時間後の受精を待ちます。

【⑥受精卵】

 受精が確認されると、病院から受精卵を子宮に移植するための日時の連絡が来ます。受精卵はさらに約1日培養して、4~8分割になってから移植します。フラグメントと呼ばれる泡のような小細胞が少ない受精卵がよい受精卵とされます。
 一般的には4分割から8分割の段階で移植しますが、胚盤胞移植の場合は、さらに2,3日胚盤法の段階まで待ちます。

【⑦胚移植】

 分割をはじめた受精卵のなかから良質なものを選び、子宮内へ移植します。これを胚移植と呼びます。
 胚移植自体は5分ほどで済みますが、麻酔を使わないため痛みを伴うことがあります。処置後は2~3時間ほど病院で安静にした後、帰宅できます。

【⑧妊娠判定】

 胚移植後2週間は、プロゲステロン注射や貼り薬を使い黄体を補充します。状態を確認するために定期的に採血をする必要もあります。2週間後、採血と採尿を行い、妊娠しているかどうかの判定をします。

ご予約はこちら!

ご予約はお電話またはWEBからお願いいたします。

048-799-3329

WEB予約はこちら